ひき逃げなんて言語道断!!
危険運転致死傷罪の導入など飲酒運転による事故への罰則が強化されているに対し、ひき逃げの罰則が比較的軽いままであるため、事故後に一度逃走して、酔いを覚ました後に出頭する、あるいは再度飲酒して事故前の飲酒の立証を防ぐといった言語道断な行為をする違反者が急増しているとマスメディアなどでは報道されています。
これが本当ならば、絶対に許される行為ではない。恐ろしいことに統計上では、ひき逃げの急増は2000年から始まっているので、マスコミの報道のように飲酒運転がためのひき逃げの急増とは言い切れない部分もありますが、現状の罰則規定である以上ひき逃げを考える違反者がいてもおかしくはない。
ましてや飲酒をしていた場合、正確な判断能力が欠如するであろうから人を轢いてしまった場合など、どのような行動にでるか分かったものじゃありません。
人間は聖人君子ではないので、心ならずも交通事故を起こしてしまう場合もあるでしょう。
他人に怪我をさせてしまう場合もないとはいい切れません・・・だからこそ日常の安全運転がどれほど大切か。
ましてや自ら飲酒し、自身の判断能力を低下させてしまう行為など言語道断!!
道路交通法の第72条1項では、 「車両等の交通による人の死傷またはものの損壊(中略)があつたときは、当該車両等の運転者その他の乗務員(中略)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。」 と規定されています。
すなわち、負傷者の救護を怠り、道路における危険を防止する等必要な措置を講じていないことから道路交通法(事故における負傷者救護義務)違反に問われます。
当たり前のことです。
ひき逃げの罰則も道路交通法に規定されていて、同法117条には「第72条第1項前段の規定に違反した時は、5年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する」と定められています。
ちなみに危険運転致死傷の罰則は刑法第208条の2より、アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で四輪以上の自動車を走行させ、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。と定められています。
このように比べると、確かにひき逃げの罰則が比較的軽いと考えられますが、実際にひき逃げが成立する場合、業務上過失致死傷罪(刑法第211条)も同時に成立するのが普通であり、また、運転者の飲酒が立証された場合、危険運転致死傷罪(刑法第208条の2)が成立することもありうるのです。
飲酒にしても、ひき逃げにしても、その他の違反にしても人を死傷させるような交通事故をひき起こした場合は被害者はもちろん、加害者どちらも不幸になるのは明白。
やはり真剣に安全運転を意識するべきなのです。
刑法第211条
業務上過失致死傷等
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
参考資料 ウィキペディア